法人カード(ビジネスカード)で支払った経費の仕訳、正しくできていますか。法人カードの利用は「カード決済日」と「口座引き落とし日」にタイムラグがあるため、仕訳のタイミングを間違えると帳簿がズレてしまいます。
この記事では、個人事業主が法人カードを使った場合の仕訳方法を、白色申告・青色申告それぞれのケースで解説します。

白色申告の場合の仕訳
白色申告で確定申告を行っている場合は、単式簿記で記帳します。記録するのは「日付」「金額」「内容(何を購入したか)」の3点のみです。
カード決済日の日付で記帳するのが基本で、引き落とし日ではなく利用した日を記載します。白色申告の場合は「未払金」の概念を使う必要がないため、処理はシンプルです。
青色申告の場合の仕訳(複式簿記)
青色申告で55万円控除または65万円控除を受ける場合は、複式簿記での記帳が必要です。法人カードの仕訳は「購入時」と「引き落とし時」の2回に分けて行います。
購入時(カード決済時)
カードで備品を5,000円分購入した場合:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 5,000円 | 未払金 | 5,000円 |
引き落とし時(口座から支払い時)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 未払金 | 5,000円 | 普通預金 | 5,000円 |
簡便法(引き落とし日に一括処理)
事業用口座からの引き落としであれば、引き落とし日にまとめて記帳する簡便法も認められています。この場合、カード決済日ではなく引き落とし日の日付で処理します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 5,000円 | 普通預金 | 5,000円 |
簡便法を使う場合は、年度末(12月末)をまたぐ取引に注意が必要です。12月にカード決済し、1月に引き落としになる取引は、原則として12月の経費として計上する必要があります。年末の仕訳だけは「未払金」を使って正しく処理しましょう。

よく使う勘定科目一覧
法人カードでの支払いで使う代表的な勘定科目を紹介します。
| 支出内容 | 勘定科目 |
|---|---|
| 文房具・コピー用紙 | 消耗品費 |
| 出張の交通費 | 旅費交通費 |
| 接待・会食 | 接待交際費 |
| 電話・インターネット | 通信費 |
| サーバー・ソフトウェア | 通信費 or 支払手数料 |
| ウェブ広告 | 広告宣伝費 |
| 仕入れ | 仕入高 |
| 外注費 | 外注費 |
| カード年会費 | 支払手数料 or 諸会費 |
プライベート利用が混在した場合の処理
法人カードでプライベートの支出をしてしまった場合、個人事業主は「事業主貸」として処理します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 事業主貸 | 3,000円 | 普通預金 | 3,000円 |
「事業主貸」は経費にはなりませんが、帳簿上の整合性を保つために必要な処理です。頻繁にプライベートの支出が混在すると処理が煩雑になるため、事業専用のカードとプライベート用のカードは分けて使うのが鉄則です。
会計ソフトを活用した効率化
法人カードの仕訳を手動で行うのは時間がかかります。クラウド会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生など)を活用すれば、カードの利用明細を自動で取り込み、仕訳の自動提案まで行ってくれます。
初めて連携する際に各取引の勘定科目を設定しておけば、2回目以降は自動で仕訳が完了するため、確定申告の準備時間を大幅に短縮できます。たとえばfreeeの場合、カード連携後に「自動で経理」機能を使えば、AIが過去の仕訳パターンを学習して科目を提案してくれます。月100件の仕訳を手入力していた場合、年間で40〜50時間の作業時間が節約できると言われています。
確定申告でよくあるミスと対策
年度をまたぐ取引の計上漏れ
12月にカード決済して1月に引き落とされる取引は、12月の経費として計上する必要があります。このミスは非常に多く、特に簡便法で処理している個人事業主が見落としがちです。年末の11月〜12月は、カード明細を入念にチェックして計上漏れを防ぎましょう。
個人口座からの引き落としを「事業主借」で処理し忘れる
事業用カードの引き落とし先が個人口座の場合、引き落とし時の仕訳で「事業主借」を使う必要があります。これを忘れると、帳簿上の現金残高が実態と合わなくなります。

よくある質問
Q. カード明細だけで経費の証拠になりますか?
カード明細は取引の証拠書類として有効ですが、インボイス制度下では適格請求書としては認められません。仕入税額控除を受けるためには、別途インボイスを取得・保管する必要があります。
Q. リボ払いの手数料は経費になりますか?
リボ払いの手数料は「支払利息」として経費計上できます。ただし、リボ払いは手数料が高く、キャッシュフローの観点からもおすすめしません。
Q. 分割払いの場合の仕訳はどうなりますか?
分割払いの場合、購入時に全額を経費(借方)と未払金(貸方)で計上し、毎月の引き落とし時に未払金を減らしていく処理が基本です。
Q. カードのポイントで購入した場合の仕訳は?
ポイントで購入した分は「値引き」として実際の支払額のみを経費計上するか、「雑収入」としてポイント分を収益計上する方法があります。どちらの方法でも構いませんが、毎年同じ方法で処理する必要があります。
Q. 法人カードの引き落とし口座がプライベートの口座の場合は?
事業用の経費が個人口座から引き落とされた場合は、「事業主借」として処理します。可能であれば、事業用口座を引き落とし先に設定するのが帳簿処理をシンプルにするコツです。
Q&Aコーナー

Q. 青色申告と白色申告でカードの仕訳方法は変わる?
白色申告は単式簿記なので「未払金」を使わずシンプルに記帳できます。青色申告(55万円/65万円控除)は複式簿記が必要なため、カード決済時と引き落とし時の2回に分けて仕訳するのが原則です。
Q. カード明細と領収書の金額が違う場合はどうする?
ポイント利用による値引きや、為替レートの変動(海外利用時)で差額が生じることがあります。差額の原因を確認し、ポイント値引きなら「雑収入」、為替差損益なら「為替差損(益)」として処理しましょう。
Q. 確定申告で提出が必要な書類は?
カードの利用明細自体を確定申告時に提出する必要はありませんが、証拠書類として7年間(青色申告の場合)保管する義務があります。クラウド会計ソフトにデータが残っていれば保管要件は満たされますが、念のためPDFでもバックアップしておくと安心です。
Q. カード決済した日を忘れてしまった場合は?
カード会社のオンラインサービスで利用明細を確認すれば、利用日が正確にわかります。会計ソフトとカードを連携していれば、利用日が自動で記録されるため、日付を忘れる心配はありません。
Q. 税務調査でカードの利用明細を見せる必要はある?
税務調査では、経費の裏付け資料としてカードの利用明細の提示を求められることがあります。すべての明細を整理して保管しておくことが、スムーズな調査対応につながります。
まとめ
法人カードの確定申告における仕訳は、「購入時に未払金計上→引き落とし時に未払金消込」が原則です。簡便法として引き落とし日に一括処理する方法もありますが、年末の取引だけは未払金を使った正式な処理が必要です。会計ソフトとの連携で仕訳の大部分は自動化できるため、積極的に活用しましょう。

