審査に落ちた理由は、カード会社から教えてもらえません。だからこそ効くのが、申し込む前に自分で確認できることを、先に全部確認しておくという進め方です。落ちてから原因を推測するより、申し込む前に手元の情報を点検するほうが、はるかに具体的な作業になります。
この記事では、法人カードの審査で不利に働きうる要素のうち本人が事前に確認できるものを洗い出し、その筆頭である信用情報の開示請求を実際に行う手順まで解説します。すでに落ちてしまった方に向けた再申込の考え方は法人カードの審査に落ちた!原因と再申込で通過するコツ、審査で確認される項目の全体像は法人カードの審査基準を解説|審査で確認される項目と通過するためのポイントにまとめています。本記事は、その手前にある「申込前のセルフチェック編」です。

審査基準は非公開。だから「確認できるもの」から手をつける
前提として、カード会社は審査基準を公表していません。JCBも公式サイトで「法人カードの審査内容や審査基準は公表されていません」と明記しています。したがって、この記事で扱うのは通過を保証する方法ではなく、事前に確認できる事実を潰しておく作業です。
JCBは、審査で確認される信用情報の例として次を挙げています。
・ローンやクレジットの新規申し込みや契約内容
・借入件数
・借入金額
・返済状況
・返済遅延や債務整理などの過去のトラブル
この5項目は、いずれも本人が信用情報機関に開示請求すれば自分で確認できる内容です。記憶に頼らず、実際の登録内容を見にいきましょう。
信用情報の仕組みを含め、クレジットカードの基本を一冊で整理しておくのも一つの方法です。
信用情報機関は3つ。どこを見るかで分野が変わる
国内の主な信用情報機関は3つあり、加盟している会社の業種が異なります。クレジットカードの審査を気にするならCIC、消費者金融からの借入があるならJICC、銀行のローンがあるなら全国銀行個人信用情報センター(KSC)を見る、というのがおおまかな使い分けです。CICは公式サイトで、情報開示について「CICに加盟している会員会社(クレジット会社等)との契約内容や支払い状況等の信用情報を確認できる制度」と説明しています。
| 機関 | 開示方法と手数料(公式サイト記載) |
|---|---|
| CIC | インターネット開示は利用手数料500円(消費税込み)。サービス時間は8:00〜21:45(年末年始も利用可)。郵送開示は手数料1,500円 |
| JICC | スマートフォンからの申し込みで手数料700円(税込)。マイナンバーカードの署名用電子証明書の暗証番号が必要 |
| KSC(全国銀行個人信用情報センター) | オンラインで申し込みから開示報告書の受け取りまで完結。手数料800円。マイナンバーカードを用いてweb上で本人確認 |
いずれも記事執筆時点で各機関の公式ページに掲載されている内容です。金額や手続きは変更されることがあるため、実際に請求する際は必ず各機関の公式サイトでご確認ください。
CICのインターネット開示
CICは公式サイトで、インターネット開示の利用手数料を500円(消費税込み)とし、支払方法はPayPay、楽天ペイ、クレジットカードまたはキャリア決済と案内しています。あわせて初回開示から96時間以内の再開示であれば手数料は無料とも記載されています。見方が分からず一度閉じてしまっても、この期間内なら追加費用なしで見直せます(CIC インターネットで開示する)。
JICCのスマホ開示
JICCは公式サイトで、開示手数料を700円(税込)とし、支払方法としてクレジットカードと携帯キャリア決済を案内しています。手続きにはマイナンバーカードの署名用電子証明書の暗証番号(6〜16桁の大文字英数字)が必要とされています(JICC 開示を申し込む)。
KSCのオンライン開示
全国銀行協会が運営する全国銀行個人信用情報センターは、公式サイトで、申し込みから開示報告書の受け取りまでオンラインで手続きができ、マイナンバーカードを用いてweb上で本人確認を行うと案内しています。手数料は800円で、クレジットカード・PayPay・キャリア決済で支払えるとされ、SMS機能が利用できる携帯電話やスマートフォンが必要と記載されています(全国銀行個人信用情報センター 本人開示の手続き)。

開示報告書で見るべきポイント
報告書を受け取ったら、次の3点に絞って確認してください。細かい記号の意味は各機関が見方のガイドを公開しているので、そちらを参照するのが確実です。
1.支払状況の欄に遅延の記録がないか
うっかりの引き落とし失敗が記録されていることがあります。自分では払ったつもりでも、口座残高不足で1日遅れていたケースは珍しくありません。記録があれば、その事実を前提に申し込みのタイミングを考えることになります。
2.身に覚えのない契約が載っていないか
まれに、自分の記憶にない契約が登録されていることがあります。事実と異なる内容があれば、各機関が案内している手続きに沿って調査を依頼できます。
3.直近の申込記録がどれだけあるか
JCBは審査で確認される信用情報の例として「ローンやクレジットの新規申し込み」を挙げています。短期間に申し込みが集中していると、その事実は記録として残ります。審査基準は非公開のため影響の程度は分かりませんが、記録が残ること自体は事実です。まとめて申し込むより、候補を絞ってから順に動くほうが落ち着いて進められます。
信用情報以外に、申込前に潰せるもの
審査で不利に働きうる要素のうち、書類や入力内容に起因するものは、事前の確認でそのまま解消できます。
入力ミス・記載内容の食い違い
JCBは公式サイトで、申し込みの際に記入する情報に誤りがあると審査が滞ってしまう可能性があると説明しています。資本金や従業員数を記憶で入力せず、登記事項証明書や決算書の数字をそのまま写してください。
本人確認書類の住所と申込住所のずれ
JCBは、法人の本人確認書類に記載された本店所在地と申し込み時に記入した所在地が異なる場合、補完書類の提出も必要になると案内しています。補完書類の例として、公共料金の領収証書、国税または地方税の領収証書または納税証明書、社会保険料の領収証書が挙げられています。移転したのに登記や書類の住所が古いままなら、申し込む前に整理しておくと手続きが止まりません。
書類の発行日が古い
JCBは、法人の本人確認書類には「6ヵ月以内に発行されたもの」などの条件があると説明しています。数年前に取得した登記事項証明書が引き出しに入っていても、そのままでは使えない可能性があります。
取得した証明書は、発行日が分かるようにクリアファイルで分けて保管しておくと、使えるかどうかをすぐに確認できます。
審査を通したい一心で、年収や従業員数を実態より大きく書くのは避けてください。JCBは公式サイトで、虚偽申告であった場合には審査結果に影響を及ぼす可能性があり、たとえ入会できても虚偽申告が判明した時点で会員資格を喪失すると明記しています。

会社側の情報も、申込前に整えておく
JCBは、審査では代表者の属性情報や信用情報に加え、企業の経営実績や財務状況なども確認されると説明しています。決算内容そのものを直前に変えることはできませんが、次のような整理は申込前でも可能です。
・登記の内容(本店所在地、事業目的、役員)が現状と合っているかを確認する
・連絡先の電話番号が実際につながる状態か確認する
・事業内容が外から確認できる状態か(ウェブサイトや会社案内)を確認する
・直近の決算書の数字を手元に用意し、申込時に正確に入力できるようにする
これらはいずれも、審査を有利にすると約束できるものではありません。ただし、事実と申告内容の食い違いをなくすという意味では確かな効果があります。
直近の決算書の数字を自分で読み取れるようにしておきたい方は、決算書の読み方を解説した本も参考になります。

それでも落ちたときにやること
事前準備をしても通らないことはあります。その場合は、同じ条件のまますぐ次へ申し込むのではなく、開示した信用情報の内容と、申込時に入力した内容を突き合わせて、変えられる点があるかを確認してください。申込条件そのものが自社と合っていなかった可能性もあるため、申込対象や必要書類の要件を見直すのも有効です。カードの代わりになる手段としては法人カードとデビットカードどっちがいい?違いとメリデメを比較や法人バーチャルカードとは?即日発行できるおすすめと選び方も参考になります。
よくある質問
Q. 信用情報の開示請求をすると、審査で不利になりますか
本人による開示請求は、カードやローンの申し込みとは別の手続きです。CICは公式サイトで、開示は本人の申し込みにより自分の信用情報を確認できる制度だと説明しています。
Q. 3つの機関すべてに開示請求すべきですか
状況によります。クレジットカードの利用が中心ならCIC、消費者金融の借入があるならJICC、銀行ローンがあるならKSCが対象になります。心当たりが複数あるなら、まとめて確認しておくと見落としがありません。
Q. 開示にかかる費用はいくらですか
記事執筆時点の公式サイト記載では、CICのインターネット開示が500円(消費税込み)、JICCのスマートフォン開示が700円(税込)、KSCのオンライン開示が800円です。CICの郵送開示は1,500円と案内されています。
Q. マイナンバーカードがないと開示できませんか
JICCとKSCは、公式サイトでマイナンバーカードを用いた本人確認の手順を案内しています。CICは郵送での開示方法も用意しており、手数料1,500円を開示利用券(コンビニチケット)またはゆうちょ銀行の定額小為替証書で支払う流れが案内されています。
Q. 遅延の記録があると、もう法人カードは作れませんか
審査基準は公表されていないため、作れないと断定することはできません。記録の有無だけで結論は出ないので、申込条件を満たすカードの中から検討を進めてください。
Q. 会社の信用情報は開示できますか
この記事で扱っている3機関の開示は、個人の信用情報を本人が確認する制度です。法人としての情報の取り扱いについては、各機関の公式サイトの案内をご確認ください。
まとめ
審査に落ちる原因のうち、申込前に本人が確認できるものは限られていますが、確認できるものを先に潰しておく価値は大きいといえます。信用情報はCICが500円、JICCが700円、KSCが800円という手数料で本人が開示でき、支払状況・身に覚えのない契約・直近の申込記録という3点を見るだけでも状況は把握できます。
あわせて、入力内容の正確さ、本人確認書類の住所と発行日、登記内容の整合という書類まわりも整えておきましょう。これらは審査基準に関係なく、事実として直せる部分です。手数料や手続きの内容は変更されることがあるため、実際に請求する際は必ず各機関の公式サイトでご確認ください。
参考:CIC 情報開示とは / JICC 開示サービス / 全国銀行個人信用情報センター

