「社員にも法人カードを持たせたいけど、不正利用が心配」「経費精算の手間を減らしたいけど、管理が大変そう」。こんな悩みを抱える経営者は多いでしょう。
結論から言えば、法人カードの追加カードを社員に持たせることで、経費精算の手間が劇的に減り、ポイント還元も増え、キャッシュフローも改善するというメリットがあります。もちろんリスクもありますが、適切なルールを設けることで十分にコントロールできます。

社員に法人カードを持たせる5つのメリット
経費精算の手間が激減する
社員が出張や備品購入のたびに現金で立て替え、精算書を作成し、上司の承認を得て経理に提出する――この一連のプロセスは、全員にとって大きな時間の無駄です。追加カードがあれば、支払いはカード決済で完結し、明細がそのまま経費の記録になります。
ポイント還元が集約される
追加カードで決済した分のポイントは、本カードに合算されます。社員全員の経費がポイント還元の対象になるため、現金払いやバラバラのカード払いに比べて、非常に効率よくポイントが貯まります。
キャッシュフローが改善する
社員の立て替え払いがなくなり、カードの支払いサイクル(締め日〜引き落とし日)で一括精算されるため、資金繰りの見通しが立てやすくなります。立替金の精算業務に伴う振込手数料も削減できます。
不正経費の抑止力になる
カードの利用明細には、利用日時・店舗名・金額が記録されます。この透明性が、架空経費や水増し経費の抑止力として機能します。現金払いに比べて、不正が発覚しやすい環境が自然にできあがります。
経理業務の効率化
カード明細データを会計ソフトに取り込めば、仕訳の大部分が自動化されます。手入力の作業が減り、入力ミスも防止できるため、経理担当者の負担が大幅に軽減されます。ある調査では、経費精算にかかる時間は1件あたり平均15〜30分とされています。社員10人が月5件の経費精算をする場合、月750分〜2,500分(約12〜42時間)もの業務時間が経費精算に費やされている計算です。追加カードの導入で、この作業時間を80%以上削減できたという企業もあります。
追加カードのリスクと対策
リスク1:社員の私的利用
追加カードを個人的な買い物に使ってしまうリスクがあります。対策として、利用用途のルールを明文化し、定期的に明細をチェックする体制を整えましょう。不正利用が発覚した場合のペナルティも明記しておくと抑止力になります。
リスク2:紛失・盗難
カードの枚数が増えるほど、紛失や盗難のリスクも高まります。対策として、カードの管理責任者を明確にし、出張時のみカードを貸し出す運用にするか、バーチャルカードの活用を検討しましょう。
リスク3:利用限度額の管理
追加カードは本カードと利用枠を共有するケースが多いため、社員が大きな金額を使うと本カードの利用枠が圧迫されます。対策として、追加カードごとに利用限度額の上限を設定できるカードを選ぶとよいでしょう。
法人カードを社員に「貸す」のではなく、正式に「追加カード」として発行することが重要です。本カードの使いまわしは、カード会社の利用規約で禁止されており、不正利用時の補償が受けられなくなる可能性があります。

社内ルールの整備が成功のカギ
追加カードを運用する際に、最低限定めておくべきルールを紹介します。
利用可能な経費カテゴリーを明確にする
「出張交通費」「接待交際費」「備品購入」など、カードで支払ってよい経費カテゴリーを具体的に定めます。カテゴリー外の支出はカードを使わず、別途承認を得てから支払う運用にします。
利用後の報告ルールを決める
カード利用後、何日以内にどのような報告をするかを決めておきます。利用日時・内容・金額・事業上の目的を記録し、領収書またはレシートを添付して報告する仕組みが一般的です。
利用限度額の個別設定
追加カードごとに利用限度額を設定できるカードを選び、社員の役割や経費の頻度に応じて適切な金額を設定します。新入社員には低め、営業責任者にはやや高めというように、段階的に設定するのが効果的です。
退職時のカード回収手順
社員が退職する際のカード回収手順を事前に定めておきましょう。退職日にカードを回収し、カード会社に追加カードの解約を連絡するまでが一連の手続きです。
追加カードの選び方
追加カードの年会費
追加カードの年会費はカード会社によって異なります。無料のものもあれば、1枚あたり数千円のものもあります。社員数が多い企業ほど年会費の総額に差が出るため、追加カード1枚あたりの年会費は必ず確認しましょう。
発行可能枚数
カードによって追加カードの発行上限が異なります。社員数が多い企業は、発行枚数に上限がないカードを選ぶ必要があります。
個別の利用限度額設定
追加カードごとに利用限度額を個別設定できるカードを選ぶと、リスク管理が格段に楽になります。
よくある質問
Q. 追加カードの発行に審査はありますか?
一般的に、追加カードの発行時に社員個人の審査は行われません。本カードの審査が通過していれば、追加カードは比較的簡単に発行できます。ただし、カード会社によっては社員の在籍確認が行われるケースもあります。
Q. アルバイトやパートにも追加カードを発行できますか?
カード会社の規約によります。正社員に限定しているカード会社もあれば、パートやアルバイトにも発行可能なカード会社もあります。事前にカード会社に確認しましょう。
Q. 追加カードで貯まったポイントは誰のものですか?
追加カードで貯まったポイントは、本カード(法人)のものです。社員個人がポイントを利用することはできません。
Q. 社員が退職した場合、追加カードはどうなりますか?
退職日にカードを回収し、速やかにカード会社に連絡して解約手続きを行います。退職後もカードが残っていると、不正利用のリスクがあるため、回収漏れがないよう注意しましょう。
Q. 追加カードの利用明細は本カード会員が確認できますか?
はい、追加カードの利用明細は本カード会員(管理者)がまとめて確認できます。カード会社の管理画面から、社員ごとの利用状況をチェックすることが可能です。

まとめ
法人カードの追加カードを社員に持たせることで、経費精算の効率化、ポイント還元の最大化、キャッシュフローの改善など、多くのメリットが得られます。私的利用や紛失のリスクは、社内ルールの整備と利用限度額の個別設定で十分にコントロール可能です。
追加カードを選ぶ際は、年会費、発行枚数の上限、個別限度額設定の可否を確認しましょう。「カードの使いまわし」ではなく、正式な追加カードの発行で運用することが、安全で効果的なカード活用の基本です。

