過去に支払いの延滞があったり、債務整理を経験していたりすると、法人カードの申し込みに踏み出しづらくなります。ネット上には「ブラックでも作れるカード」といった情報も見かけますが、カード会社の審査基準は各社とも公開していません。誰かが「このカードなら通る」と断言できる根拠は、実際には存在しないのです。
この記事では、審査に通る方法を語るのではなく、申し込みの前に自分で確認できる事実を整理します。信用情報機関に何が登録され、どのくらいの期間残るのか。自分の情報をどうやって確認するのか。公式サイトで公表されている内容だけをもとに解説します。

「ブラックリスト」という名簿は存在しない
俗に「ブラックリスト入り」と呼ばれる状態がありますが、そういう名前の名簿が実在するわけではありません。実際にあるのは、信用情報機関に登録されている取引の事実です。
日本には個人の信用情報を扱う機関が3つあります。株式会社シー・アイ・シー(CIC)、株式会社日本信用情報機構(JICC)、そして全国銀行協会が運営する全国銀行個人信用情報センターです。それぞれ加盟している会員の業種が異なり、登録される情報の種類も保有される期間も機関ごとに違います。
クレジットカードや信用情報の基本を一冊で押さえておくと、この先の説明も理解しやすくなります。
3つの機関に登録される情報と保有期間
各機関が公式サイトで公表している内容を整理します。以下はいずれも記事執筆時点で確認した記載です。
CIC(株式会社シー・アイ・シー)
| 情報の種類 | 保有期間 |
|---|---|
| 申込情報 | 照会日より6ヶ月間 |
| クレジット情報(契約内容・支払状況) | 契約期間中および契約終了後5年以内 |
| 利用記録 | 利用日より6ヶ月間 |
| 本人申告情報 | 登録日より5年以内 |
JICC(株式会社日本信用情報機構)
| 情報の種類 | 保有期間 |
|---|---|
| 契約内容情報・返済状況情報(2019年10月1日以降の契約) | 契約継続中および契約終了後5年以内 |
| 取引事実情報(債権回収・債務整理・保証履行・強制解約・破産申立・債権譲渡等) | 契約継続中および契約終了後5年以内(債権譲渡の事実に係る情報は当該事実の発生日から1年以内) |
| 申込情報 | 照会日から6か月以内 |
| 本人申告コメント情報 | 登録日から5年以内 |
全国銀行個人信用情報センター
| 情報の種類 | 保有期間 |
|---|---|
| 取引情報(ローン・カード契約と返済状況) | 契約期間中および契約終了日から5年を超えない期間 |
| 照会記録情報(本人開示の対象) | 1年以内 |
| 官報情報(破産・民事再生手続開始決定) | 当該決定日から7年を超えない期間 |
| 本人申告情報 | 5年以内 |
3つの表を見比べると、官報情報だけは全国銀行個人信用情報センターで7年を超えない期間とされており、他の情報とは扱いが異なります。「◯年経てば消える」と一律に語られることが多い部分ですが、機関と情報の種類によって期間は違います。自分のケースがどれに当たるかは、各機関の公式サイトで確認してください。

自分の信用情報は開示請求で確認できる
3つの機関はいずれも、本人が自分の情報を確認できる開示制度を用意しています。各社が公表している手数料と方法は次のとおりです(記事執筆時点)。
CIC
インターネット開示は手数料500円、対応時間は毎日8:00〜21:45で、スマートフォンから即時に確認できると案内されています。有効なマイナンバーカードなどが必要です。郵送開示は手数料1,500円で、申込から1〜10日で発送とされています。
開示される情報は、クレジット情報・申込情報・利用記録・参考情報・クレジットガイダンス情報の5種類です。
JICC
スマホアプリによる開示の手数料は700円(税込)と案内されています。マイナンバーカードのICチップに搭載された電子証明書を利用して本人確認を行う方式です。支払い方法はクレジットカードまたは携帯キャリア決済から選べます。
全国銀行個人信用情報センター
インターネット開示の手数料は800円です。マイナンバーカードの所持が必須で、NFC機能のあるスマートフォンなどが必要とされています。処理期間は最短3営業日〜5営業日ほどで、即日開示には対応していないと明記されています。郵送による開示手続も用意されています。
開示請求をしたこと自体が審査に不利に働くわけではありません。CICでは、開示できる情報のひとつとして「利用記録(審査目的で信用情報を確認した記録)」が挙げられていますが、これは加盟会員が照会した記録であり、本人による開示請求とは別のものです。
申し込み前に自分で確認できること
審査基準は非公開である以上、通ると言い切れる方法は誰にも示せません。ここで挙げるのは、あくまで自分の側で状況を把握し、整えておけることです。
1. 開示報告書で事実関係を把握する
記憶と記録が一致しないことは珍しくありません。完済したはずの契約が残っている、身に覚えのない申込情報がある、といったケースもあります。まずは事実を確認するところから始めましょう。もし記載内容に誤りがあると思われる場合、各機関には訂正の申し立てや苦情の窓口が用意されています。
2. 支払いの遅れをなくす
公共料金や携帯電話の分割払いなど、意識せずに信用情報へ登録される支払いもあります。引き落とし口座の残高を管理し、遅れを出さない状態を続けることが基本です。うっかりの残高不足も記録としては同じ扱いになり得るため、口座振替の日付を把握しておきましょう。
毎月の入金と支払いの予定を一覧にしておくと、残高不足を防ぎやすくなります。資金繰りの考え方をまとめた本も参考になります。
3. 短期間に何社も申し込まない
申込情報はCICで照会日より6ヶ月間、JICCで照会日から6か月以内という保有期間が公表されています。この期間内に複数の申込記録が並ぶと、各社がその情報を参照できる状態になります。立て続けの申し込みは避け、間隔を空けるほうが無難です。
4. 申込内容を正確に記入する
氏名・住所・勤務先・事業内容などは、書類と一致した内容を記入します。記載の食い違いは確認作業を増やすことになります。
5. 事業の実態を説明できる資料を整える
法人カードは事業に紐づくカードです。開業届の控え、屋号付き口座の通帳、取引先との契約書など、事業を行っている実態を示せる書類を手元に揃えておくと、必要書類の提出を求められた際にすぐ対応できます。審査に落ちた場合の考え方は「法人カードの審査に落ちた!原因と再申込で通過するコツ」でも解説しています。
開示報告書や契約書などの書類は、ファイルボックスにまとめておくと必要なときにすぐ取り出せます。

クレジットカード以外の決済手段という選択肢
法人カードの審査に不安がある場合でも、事業用の決済を分ける方法はあります。
デビットカード
口座残高の範囲で決済する仕組みのため、与信審査の考え方がクレジットカードとは異なります。詳しくは「法人カードとデビットカードどっちがいい?違いとメリデメを比較」をご覧ください。
プリペイドカード・バーチャルカード
あらかじめチャージした残高の範囲で使う仕組みです。経費の管理という目的だけであれば、これらでも明細を分けることはできます。「法人プリペイドカードとクレカの違いは?比較でわかるメリットと選び方」で違いを整理しています。

返済に困っているときの相談先
いま返済が苦しい状況にあるなら、カードの申し込みより先に相談できる窓口があります。
- 消費者ホットライン 188:全国共通の電話番号で、地方公共団体が設置している身近な消費生活センターや消費生活相談窓口を案内してもらえます。土日祝日を含め、施設点検日や年末年始を除いて原則毎日利用できると案内されています。
- 国民生活センターのバックアップ相談 03-3446-0999:188がつながらない場合の窓口で、平日10時〜16時とされています。
- 日本貸金業協会:貸金業相談・紛争解決センターや貸付自粛制度についての案内が公式サイトに掲載されています。
ひとりで抱え込む必要はありません。まずは事実を整理し、相談できる先に話してみることをおすすめします。
よくある質問
Q. 信用情報に不安がある場合、審査に通りやすい法人カードはありますか?
各カード会社は審査基準を公開していないため、特定のカードが通りやすいと断定することはできません。「このカードなら通る」といった説明を見かけたら、その根拠が示されているかを確認してください。
Q. 開示請求をすると審査に影響しますか?
本人による開示請求は、加盟会員が審査目的で照会する記録とは別のものとして扱われています。自分の情報を確認するための手続きなので、確認しておくこと自体に不利益はありません。
Q. 3つの機関すべてに開示請求すべきですか?
加盟している会社の業種が機関ごとに異なるため、状況によって確認すべき先は変わります。過去の取引先がどの機関に加盟しているかが分からない場合、3機関すべてを確認するという判断もあり得ます。手数料は合わせて2,000円程度です。
Q. 登録内容に誤りがあった場合はどうすればいいですか?
各機関には訂正の申し立てや苦情を受け付ける窓口があります。まずは開示報告書を手元に用意したうえで、該当する機関に問い合わせてください。
Q. 代表者個人の信用情報は法人カードの審査に関係しますか?
法人カードは代表者の信用情報も参照されるのが一般的とされていますが、どの情報をどう評価するかは各社の判断であり公開されていません。少なくとも、代表者個人の情報を確認しておくことに意味はあります。
Q. 保有期間が過ぎれば情報は自動的に消えますか?
各機関の公式サイトには保有期間が示されていますが、実際の登録状況は開示請求で確認するのが最も正確な方法です。期間の起算日をどこに置くかによっても結果は変わります。
まとめ
いわゆる「ブラック」という状態について、外部から判定できる基準はありません。あるのは、CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターに登録されている取引の事実と、それぞれの保有期間だけです。
そして、その内容は本人であれば開示請求で確認できます。CICはインターネット開示500円、JICCはスマホアプリ開示700円(税込)、全国銀行個人信用情報センターはインターネット開示800円と、いずれも公式サイトに手数料が示されています。
申し込みを検討しているなら、まず自分の記録を確認してください。そのうえで、短期間に何社も申し込まない、支払いの遅れを出さないといった基本を続けることが現実的な備えになります。手数料や手続き方法は変更される可能性があるため、必ず各機関の公式サイトで最新の情報をご確認ください。
参考:CIC 情報開示 / JICC 信用情報の開示 / 全国銀行個人信用情報センター / 消費者庁 消費者ホットライン188 / 日本貸金業協会

