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会議費とカフェ代を法人カードで扱う|交際費との境目と社内の記録ルール

経費精算・会計処理

打ち合わせのカフェ代、来客用のお茶やお菓子、社内会議の弁当。1件あたりは数百円から数千円ですが、月に何十件も積み上がると無視できない金額になります。法人カードで払えばキャッシュレスで完結するものの、明細に残るのは店名と金額だけです。

そしてこの費目には、もうひとつ厄介な論点があります。会議費として扱えるのか、交際費等として扱うことになるのかという区分です。この記事では、その境目を国税庁の資料に沿って整理したうえで、法人カードでの運用ルールに落とし込んでいきます。

ナビ助
ナビ助
カフェ代って、小さいのに一番判断に迷うんだよね。線がどこにあるか、先に見ておこう。

交際費等から除かれる「会議に関連する飲食物」

まず押さえておきたいのが、国税庁が交際費等の範囲から除かれるものを列挙している点です。その中に、次の項目があります。

「会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用」(出典:国税庁 No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算/令和7年4月1日現在法令等)。

ここで効いてくるのが「会議に関連して」と「通常要する費用」という2つの条件です。会議の実体があること、そしてその会議に伴って通常必要とされる範囲の飲食物であること。この2つを満たす支出が、交際費等から除かれる扱いになります。

ポイント

ここで問われているのは金額の大小ではなく、支出の性格です。会議の実体があり、通常要する範囲の茶菓や弁当であれば、この規定の対象になります。逆に、会議とは呼びにくい席での飲食は、金額が小さくても別の枠組みで判断することになります。

会議費や交際費などの使い分けは、勘定科目を解説した本で一度確認しておくと、担当者ごとの判断がぶれにくくなります。

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1人あたり10,000円以下の基準とは別のルート

ここが混同されやすいところです。会議に関連する飲食物の費用が交際費等から除かれるという規定と、飲食費が1人あたり10,000円以下なら交際費等から除かれるという規定は、同じページに並んで書かれている、別々の項目です。

金額基準のほうを確認する

国税庁のページには、飲食その他これに類する行為のために要する費用のうち、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が10,000円以下である費用は交際費等から除かれる、と示されています。注記として、令和6年3月31日以前に支出された飲食等に係る費用についての基準金額は5,000円以下になるとされています。

また、この規定は飲食等のあった年月日、参加者の氏名または名称およびその関係、参加した者の数、費用の額と飲食店等の名称および所在地などを記載した書類を保存している場合に限り適用される、と明記されています。金額が基準内でも、書類がなければこの規定は使えないということです。

2つのルートを整理すると

ルート 条件 金額基準
会議に関連する飲食物 会議に関連して供与される茶菓・弁当その他これらに類する飲食物で、通常要する費用であること 金額による線引きは示されていない
飲食費の金額基準 所定の5項目を記載した書類を保存していること。専ら役員・従業員またはこれらの親族に対する接待等のためのものは除く 1人あたり10,000円以下(令和6年3月31日以前の支出は5,000円以下)

実務では、どちらの考え方で処理しているのかを社内で共有しておくと、担当者が代わっても判断がぶれません。なお、金額基準の判定や交際費等の額の計算は、法人が適用している消費税等の経理処理(税抜経理方式または税込経理方式)により算定した価額により行う、と国税庁のページに注記されています。

ナビ助
ナビ助
「1万円以下ならセーフ」だけ覚えてる人が多いけど、書類を残す条件がセットなんだよ。
注意

金額が基準内に収まるように支払いを分割したり、会議の実体がないのに会議費として処理したりするのは適切ではありません。実態に即した区分が原則であり、税負担を軽くする目的で区分を選ぶ発想は避けてください。判断に迷う支出は、顧問税理士にご相談ください。

法人カードの明細では何が足りないか

カードで払うと、利用明細には日付・加盟店名・金額が残ります。ここまでは自動です。足りないのは次の3つです。

1つ目は会議の目的と参加者。2つ目は人数。3つ目は、その支出が会議に関連するものだったかどうかの説明です。カフェの明細を1年後に見返しても、それが打ち合わせだったのか個人的な休憩だったのかは判別できません。

その場でメモを残す仕組みを作る

いちばん実行しやすいのは、決済したその場でスマートフォンから記録する運用です。会計ソフトのアプリに摘要欄があるなら、そこに「◯◯社との打ち合わせ/3名」と入れるだけで、後から判断できる情報になります。

件数が多い会社では、社内フォームを1つ用意して、日付・相手先・人数・目的を入力してもらう方法もあります。入力項目を増やしすぎると続かないため、最低限の4項目から始めるのが現実的です。明細データの管理方法は「法人カードの利用明細を管理する方法」で整理しています。

個人事業主のカフェ代はどう考えるか

個人事業主やひとり法人の場合、カフェで作業する時間が業務そのものになっていることがあります。ここで論点になるのが、その支出が事業のための支出だと説明できるかという点です。

会議費として整理するなら、誰と何の打ち合わせをしたのかが必要になります。一人で作業していた場合は、会議には該当しません。「何のための支出だったか」を説明できる形で残すことが、区分よりも先に来る条件です。

外での打ち合わせや作業が多い方は、持ち運べるノートパソコンスタンドがあると、画面の高さが合って姿勢が楽になります。

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会社の資産を私的に使う形になっていないかという視点は「法人カードの私的利用が問題になる理由」で扱っています。公私の線引きについては「法人カードの個人利用はNG?」もあわせてご覧ください。

ナビ助
ナビ助
ひとりで作業したコーヒーは会議じゃない。ここは正直に分けたほうが後がラクだよ。

仕訳とインボイスの実務

勘定科目の考え方

会議に関連する茶菓・弁当は会議費、来客への手土産や接待の飲食は交際費といった形で、科目を分けている会社が多いです。なお国税庁は、カレンダー・手帳・手ぬぐいなどを贈与するために通常要する費用や、不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用は交際費等には含まれず広告宣伝費となるとしています(出典:国税庁 No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分/令和7年4月1日現在法令等)。打ち合わせの場で配る販促物は、この区分で見ることになります。科目そのものは会社ごとの管理の都合で決められますが、税務上の交際費等に該当するかどうかは科目名では決まりません。集計するときは、科目ではなく支出の性格で拾う必要があります。仕訳の基本は「法人カードの経費仕訳ガイド」で整理しています。

少額でも書類は必要

インボイス制度では、一定の事項が記載された帳簿および適格請求書等の保存が仕入税額控除の要件とされています(出典:国税庁 No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)/令和7年4月1日現在法令等)。カフェ代のような少額の支出にも、この考え方は及びます。カードの利用明細書は適格請求書には該当しないため、レシートを回収する運用が要ります。詳しくは「法人カードのインボイス対応」をご覧ください。

回収したレシートは、月ごとにレシート用のファイルへまとめておくと、件数が多くても探しやすくなります。

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よくある質問

Q. 打ち合わせのコーヒー代は会議費でよいですか?

会議に関連して供与される飲食物で、通常要する費用であれば、国税庁が示す交際費等から除かれる項目に当たる考え方になります。会議の実体があるかどうかがポイントです。判断に迷う場合は税理士にご相談ください。

Q. 取引先とのランチは会議費と交際費のどちらですか?

会議に関連する飲食物といえる実体があるのか、接待に当たるのかで判断が分かれます。飲食費の金額基準による除外を使う場合は、参加者の氏名や人数などを記載した書類の保存が条件になります。処理方針は社内で統一しておいてください。

Q. 社内会議の弁当代は交際費になりますか?

国税庁のページでは、会議に関連して茶菓・弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用は交際費等から除かれるとされています。一方で、飲食費の金額基準による除外については、専ら役員・従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除く旨が示されています。どちらの考え方で整理するかによって扱いが変わるため、税理士にご確認ください。

Q. カードの明細だけを保存しておけばよいですか?

足りません。カードの利用明細書は適格請求書に該当せず、また交際費等の判定に必要な参加者や人数の情報も含まれていません。レシートと記録の両方が要ります。

Q. 会議費の上限を社内で決めてもよいですか?

社内ルールとして支出の上限を設けること自体は問題ありません。ただし、その金額を守っていれば税務上の扱いが自動的に決まるわけではない点にご注意ください。社内ルールと税務上の判定は別の話です。

Q. カフェ代の決済用に、少額決済専用のカードを分けたほうがよいですか?

件数が多い会社では、少額決済を1枚にまとめると集計しやすくなります。ただしカードを増やすと年会費と管理の手間が増えるため、月あたりの件数を見てから判断してください。年会費の扱いは「法人カードの年会費は経費にできる?」で整理しています。

ナビ助
ナビ助
少額こそ仕組みで回すのがコツ。毎回悩んでたら時間がもったいないからね。

まとめ

会議費とカフェ代を法人カードで扱うときは、2つのルートがあることを知っておくと判断が速くなります。ひとつは、会議に関連して供与される茶菓・弁当その他これらに類する飲食物で通常要する費用が交際費等から除かれるという項目。もうひとつは、飲食費が1人あたり10,000円以下(令和6年3月31日以前に支出された飲食等に係る費用については5,000円以下)であれば交際費等から除かれるという項目です。

後者には、飲食等のあった年月日、参加者の氏名または名称およびその関係、参加した者の数、費用の額と飲食店等の名称および所在地などを記載した書類を保存していることという条件が付いています。金額だけを覚えて書類を残していない状態が、いちばん危ういと言えます。

カードの明細に残るのは店名と金額だけです。目的・相手・人数をその場で残す仕組みを1つ作れば、少額の支出でも扱いに迷わなくなります。制度は改正されることがあるため、判断の前には国税庁の最新の情報をご確認いただき、個別の判断は税理士にご相談ください。

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