マイルが貯まる法人カードを探し始めると、たいていの人は最初にカードの一覧を見ます。しかし実際に迷いが生まれるのは、その手前です。ANAとJAL、どちらの陣営に決めるのか。ここが決まらないままカードを比べても、候補は増える一方でいっこうに絞れません。
この記事は、カードを選ぶ前の「陣営決め」と、貯め始めたあとの運用に絞った内容です。ANA向け・JAL向けにどんなカードがあるかという具体的なカード紹介はマイルが貯まる法人カードの選び方|ANA・JAL別に効率的な貯め方を解説、貯め方のテクニックは法人カードでマイルを貯める方法!ANA・JAL対応カードを比較で扱っています。本記事はその前段にある判断のフレームと、貯めた後に会社として決めておくことを解説します。

両方に分散させると、どちらも使えない量で止まる
まず前提として、マイルは一定量たまって初めて特典航空券に交換できる仕組みです。ANAとJALの両方に少しずつ分けて貯めると、どちらも交換に届かないまま有効期限を迎える、ということが起こります。中小企業や個人事業のように利用額がそれほど大きくない場合ほど、片方に集中させるほうが結果につながりやすくなります。
したがって、最初にやるべきは陣営の決定です。判断材料は次の4つです。
1.拠点の空港と、実際に多い出張路線
2.国内出張が中心か、海外出張があるか
3.加盟しているアライアンス(提携航空会社の広さ)
4.役員・社員の既存の会員資格や好み
判断材料1:拠点空港と、実際に多い路線
ここは想像ではなく、実績で確認してください。過去1年の出張精算書を開き、どの区間を何回使ったかを数えるだけです。特定路線での往復が明らかに多いなら、その路線を運航している航空会社に寄せるのが自然な判断になります。
拠点の空港と主要路線は、各社の公式サイトの時刻表・路線案内で確認できます。どちらの航空会社が自社の移動と噛み合っているかは、この段階でおおむね見えてきます。
陣営選びの前提となるマイルの仕組みは、マイルの解説本で一度整理しておくのも一つの方法です。
判断材料2:国内中心か、海外があるか
国内出張が中心なら、路線の使いやすさがそのまま判断材料になります。一方、海外出張がある場合はアライアンスの広さが効いてきます。ANAは公式サイトで、ANA便以外にも提携航空会社であればマイルを使って特典航空券に交換できると案内しています。
アライアンスの位置づけ
JALについては、ワンワールド(oneworld)の公式サイトのメンバー一覧にJapan Airlinesが掲載されています。同サイトでは、ワンワールドのネットワークが170の国と地域で900を超える就航地をカバーしていると説明されています(oneworld Member Airlines)。出張先がどちらのアライアンスの就航地に多く含まれるかで、貯めたマイルの使いやすさが変わります。
提携航空会社の顔ぶれや、特典航空券に交換できる対象便は変更されることがあります。この記事の内容は記事執筆時点で公式サイトに掲載されていたものです。実際に判断する際は、必ずANA・JAL各社の公式サイトで最新の提携先と対象便をご確認ください。

海外出張がある場合は、渡航先のコンセント形状に合う変換プラグも事前に準備しておくと安心です。
判断材料3:カード決済で貯めるか、フライトで貯めるか
法人カードでマイルを狙う場合、実際にマイルの大半を生むのは日々の経費決済です。出張の搭乗で貯まる分は、決済で貯まる分に比べると小さくなりがちです。したがって「その航空会社のマイルに交換できるカードが、自社の申込条件と合っているか」という視点も欠かせません。
たとえばJCBは公式サイトで、Biz ONEについて、貯まったポイントをANAマイレージクラブやJALマイレージバンクのマイルに移行できると案内しています。同カードの年会費は一般が永年無料とされています。ANAとJALの両方に移行先が用意されているカードなら、陣営を決めきれない段階でも運用を始められる、という考え方もできます。
ポイントからマイルへの移行は、交換レートや必要ポイント数が交換先ごとに異なります。JCBも公式サイトで「ポイント移行商品などの申し込み可能ポイントは商品によって異なります」と案内しています。移行手数料が別途必要なカードもあるため、年会費とあわせて確認してください。
貯め始めたら、有効期限の管理が仕事になる
陣営を決めてカードを持ったあと、最も見落とされるのが有効期限です。ANAは公式サイトで、マイル口座に積算されるマイルが積算事由によってグループに分かれると説明しています。
| 積算事由 | グループ | 有効期限(ANA公式サイトの記載) |
|---|---|---|
| フライト・ライフソリューションサービス利用による積算 | グループ1:通常マイル | 商品・サービスを利用した月の36カ月後の月末まで |
| キャンペーンによる積算 | グループ2〜4(期間限定マイルなど) | キャンペーンにより有効期限が異なる(各キャンペーンのウェブサイトで案内) |
ANAは、グループ1の有効期限について利用明細における「ご利用日」が基準となること、マイルの有効期限は日本時間23時59分を基準としていることも明記しています。また、ダイヤモンドサービスメンバーおよびANAグループ運航便の搭乗で100万ライフタイムマイルに到達したミリオンマイラーについては、マイルの有効期限が延長され失効しないと案内しています(ANA マイル口座グループとは)。
JALマイルの有効期限について、JALカードの公式サイトでは「通常、有効期限は搭乗・利用した翌月から計算して36カ月後の月末」と案内されています。例として、2020年5月3日にJALグループ便を利用して貯めたマイルは2023年5月末日まで有効(6月1日0時00分失効)と説明されています(JALカード マイルの有効期限はどのくらい?)。カードの種類によって扱いが異なる場合もあるため、最新の条件はJALの公式サイトでご確認ください。
期限管理を仕組みにする
個人の趣味なら「そのうち使おう」で済みますが、会社の経費で貯めたマイルを失効させるのは、金額のわかる損失です。四半期に一度、残高と失効予定を確認する担当と日付を決めておくだけで、取りこぼしは大きく減ります。

会社として決めておくこと:マイルは誰のものか
法人カードで貯まるマイルは、通常カード名義人のマイレージ口座に積算されます。ここで問題になるのが、会社の経費で貯まったマイルを、名義人が私的に使ってよいのかという点です。
これはカード会社の規約だけでは決まらず、会社側の規程で定める領域です。従業員カードを配る会社ほど、あとから揉めやすいテーマなので、配布前にルールを決めておくことをおすすめします。
社内で決めておきたい項目
・会社の経費で貯まったマイルの帰属をどう扱うか
・私的利用を認めるか、認める場合の範囲
・退職時にマイル口座をどう扱うか
・特典航空券を出張に使った場合の精算方法
税務上の取り扱いは事情によって異なる場合があります。実際の処理は必ず顧問税理士にご確認ください。
公私の線引きの考え方は法人カードの個人利用はNG?公私分離のルールと対処法を解説、従業員カードの管理ルールは社員に法人カードを持たせるメリットと管理ルールの作り方にまとめています。

マイルを狙わないほうがよい会社もある
正直に書くと、出張がほとんどない会社にとって、マイルは有効な選択肢ではありません。特典航空券に交換して初めて価値が生まれる仕組みである以上、飛行機に乗る予定がなければ交換先が限られます。
その場合は、キャッシュバックや商品交換といった使いやすい還元のカードを選ぶほうが合理的です。還元を円に直して比較する方法はポイント還元率が高い法人カードの選び方|経費払いでお得にポイントを貯めるコツで扱っています。マイルは「乗る会社」のための還元だと割り切ってしまってかまいません。
反対に、出張で飛行機を使う機会が多い場合は、機内に持ち込めるサイズのキャリーケースがあると移動がスムーズです。
よくある質問
Q. ANAとJAL、どちらが有利ですか
会社によって答えが変わります。拠点空港と実際に多い路線、海外出張の有無、提携ネットワークの広さを自社の実績に当てはめて判断してください。一般論としてどちらが有利と言えるものではありません。
Q. 両方のマイルを同時に貯めてもよいですか
制度上は可能ですが、交換に必要な量に届きにくくなります。利用額がそれほど大きくない場合は、片方に集中させるほうが交換まで到達しやすくなります。
Q. ANAマイルの有効期限は何年ですか
ANAは公式サイトで、グループ1(通常マイル)の有効期限を「商品・サービスを利用した月の36カ月後の月末まで」と案内しています。キャンペーンで積算されるマイルはグループ2〜4に分かれ、有効期限が異なります。
Q. JALマイルの有効期限は何年ですか
JALカードの公式サイトでは、通常、搭乗・利用した翌月から計算して36カ月後の月末までと案内されています。カードの種類によって扱いが異なる場合もあるため、最新の条件はJALの公式サイトでご確認ください。
Q. マイル移行に手数料はかかりますか
カードによって異なります。移行手数料が別途必要なカードもあるため、年会費だけでなく移行にかかる費用も含めて比較してください。
Q. 年会費無料でマイルに交換できる法人カードはありますか
JCBは公式サイトで、Biz ONEの一般カードの年会費を永年無料とし、貯まったポイントをANAマイレージクラブやJALマイレージバンクのマイルへ移行できると案内しています。交換レートや必要ポイント数は公式サイトでご確認ください。
まとめ
マイルを狙う法人カード選びは、カードの比較より先に陣営を決めるところから始まります。拠点空港と実際の路線、海外出張の有無、提携ネットワークの広さ。この3点を過去1年の出張実績に当てはめれば、ANAとJALのどちらに寄せるかはおおむね決まります。
そして貯め始めたら、有効期限の管理と、マイルの帰属に関する社内ルールが仕事になります。ANAはグループ1の有効期限を利用月の36カ月後の月末までと案内しています。貯める設計だけでなく、使い切る設計まで含めて考えてください。マイルの制度や提携内容は変更されることがあるため、必ず各社の公式サイトで最新の内容をご確認ください。
参考:ANA マイル口座グループとは / oneworld Member Airlines / JCB Biz ONE 公式ページ

