会社を設立したばかりのタイミングで法人カードを作りたいと思っても、「設立直後だと審査に通らないのでは?」という不安を感じる方は多いのではないでしょうか。確かに、法人としての実績がない段階では審査が気になるのは当然です。
しかし、記事執筆時点では設立1年未満の法人でも申し込めるビジネスカードが複数用意されています。代表者個人の信用情報をベースに審査を行うカードであれば、法人としての業績や決算書がなくても発行してもらえる可能性があります。この記事では、設立直後の法人がカードを選ぶ際に押さえておきたい条件や審査のポイントについて解説します。

設立直後でも法人カードが作れる理由
法人カードの審査基準はカード会社によって異なりますが、大きく分けると「法人の業績を重視するタイプ」と「代表者個人の信用情報を重視するタイプ」の2パターンがあります。
設立直後の法人は決算書がない、もしくは実績が乏しい状態のため、法人の業績を重視するタイプの審査ではハードルが高くなります。一方、代表者個人の与信で審査を行うタイプのカードであれば、法人の設立時期に関係なく申し込むことが可能です。
記事執筆時点では、三井住友カード ビジネスオーナーズやJCB Biz ONE、セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードなど、登記簿謄本や決算書の提出が不要で、本人確認書類のみで申し込めるカードが複数存在します。
起業初期に法人カードを持つメリット
創業時から経費データが蓄積される
創業初期はさまざまな支出が発生しますが、その記録をカードの利用明細として自動的に残せます。初年度の確定申告や決算の際に、経費の証拠書類が最初から揃っている状態を作れるのは大きなメリットです。
あわせて、カード以外で受け取る領収書の保管場所も最初に決めておくと、決算前の整理がスムーズです。
キャッシュフローに余裕が生まれる
法人カードの支払いは翌月払いが基本です。創業初期は売上が安定しない時期でもあるため、支払いに1〜2か月の猶予が生まれるカード決済は、資金繰りの安定に役立ちます。
ビジネス上の信用力が向上する
取引先との会食や出張でカードを利用する場面では、法人名義のカードを持っていることで事業者としての信用を示すことができます。個人カードで事業経費を支払うよりも、ビジネスの場にふさわしい印象を与えられます。
法人カードの利用実績を積み重ねることで、将来的に利用限度額の増枠やゴールドカードへのアップグレードが認められやすくなります。早い段階から利用実績を作っておくのは、長期的に見ても有利です。
設立直後の法人がカードを選ぶ際のチェックポイント
決算書や登記簿謄本の提出が不要かどうか
設立直後は決算書がまだ存在しないため、審査に決算書が必要なカードは申し込めません。「代表者の本人確認書類のみでOK」と明記されているカードを選びましょう。
年会費の負担
創業初期はコストを抑えたい時期です。年会費永年無料のカードか、初年度無料のカードから始めるのが現実的です。事業が軌道に乗ってから、必要に応じて上位カードにアップグレードすればよいでしょう。
利用限度額の目安
設立直後は利用限度額が低めに設定される傾向があります。毎月の経費が想定限度額を超えそうな場合は、利用実績を積んでから増枠を申請するか、UPSIDERのように最短即日で増枠対応してくれるカードを検討するのも一つの手です。
会計ソフトとの連携
創業初期から会計ソフトと法人カードを連携させておくと、経理業務が格段に楽になります。freeeやマネーフォワードなど、主要な会計ソフトとの連携に対応しているかを確認しましょう。

設立直後の審査で気をつけたいこと
多重申し込みは避ける
「どのカードの審査に通るかわからないから」と複数のカードを同時に申し込むのはNGです。短期間に複数の申し込みをすると、信用情報機関にその記録が残り、「資金繰りに困っている」と判断されて審査にマイナスの影響を与える可能性があります。申し込みは1枚ずつ、結果を見てから次に進むのが鉄則です。
個人の信用情報を事前に確認する
設立直後の審査では代表者個人の信用情報が重要な判断材料になります。過去にクレジットカードやローンの支払いを延滞した経験がある場合、その情報が残っている可能性があります。不安な方は、CICやJICCなどの信用情報機関で事前に自分の信用情報を確認しておくとよいでしょう。
固定電話やオフィスの有無
カード会社によっては、固定電話番号やオフィスの住所が審査で確認されるケースがあります。バーチャルオフィスでの申し込みが可能かどうかも、事前に確認しておくと安心です。
法人カードの審査基準はカード会社ごとに異なり、公開されていない部分も多くあります。「このカードなら通る」と断言することはできませんので、審査に通らなかった場合は時間を空けてから別のカードに申し込むようにしましょう。
設立直後に法人カードを作る手順
設立直後の法人がカードを申し込む一般的な流れは以下のとおりです。
ステップ1:法人口座を開設する
法人カードの引き落とし先として法人口座が必要になるカードが多いため、まずは法人口座の開設を済ませましょう。メガバンクよりもネット銀行のほうが開設までのスピードが速い傾向があります。
口座開設や各種契約の手続きでは法人印鑑を使う場面が多いため、代表者印・銀行印・角印をまとめてそろえておくと手続きを進めやすくなります。
ステップ2:必要書類を準備する
代表者の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)を用意します。決算書不要のカードであれば、これだけで申し込めるケースがほとんどです。
ステップ3:オンラインで申し込む
多くの法人カードはオンラインからの申し込みに対応しています。必要事項を入力し、本人確認書類をアップロードすれば申し込み完了です。
ステップ4:審査結果を待つ
審査期間はカード会社によって異なりますが、早いもので数営業日、通常は1〜2週間程度です。審査通過後にカードが郵送されてきます。

設立直後の法人がやりがちな失敗パターン
付帯サービスに惹かれてゴールドカードを選んでしまう
空港ラウンジや高額な旅行保険に惹かれて、最初からゴールドカードやプラチナカードを選ぶ方がいます。しかし、設立直後は出張頻度も読めないことが多く、使わないサービスに年会費を払い続けるのは非効率です。まずは年会費無料のカードで運用を始め、必要なサービスが明確になってからアップグレードするのが堅実な選び方です。
限度額の低さに焦って複数枚を申し込む
設立直後は限度額が低めに設定されることが多いため、「限度額が足りないから別のカードも作ろう」と焦って多重申し込みをしてしまうケースがあります。しかし、多重申し込みは信用情報に悪影響を与えるリスクがあります。まずは1枚のカードで利用実績を積み、数か月後に増枠を申請する方が長期的に有利です。
会計ソフト連携を後回しにする
カードが届いた段階で満足してしまい、会計ソフトとの連携設定を後回しにするパターンもよくある失敗です。連携設定は早ければ早いほど、経費データが最初から自動的に蓄積されるため、後から手入力で追いかける手間を省けます。カードが届いたらすぐに連携設定を済ませましょう。
創業期の経理の流れを一冊で押さえておきたい方は、ひとり社長向けの経理の本も参考になります。
よくある質問(Q&A)
Q. 設立して何日目から申し込める?
法人登記が完了し、法人番号が付与された時点から申し込み可能なカードがほとんどです。設立初日から申し込めるカードもあります。
Q. 設立直後だと限度額はいくらくらい?
カードや審査結果によりますが、一般的には30万円〜100万円程度からスタートするケースが多いです。利用実績を積むことで、数か月後に増枠を申請できます。
Q. 法人口座がまだない場合は申し込める?
一部のカードでは代表者個人の口座を引き落とし先に指定できるものもありますが、基本的には法人口座の開設を先に済ませることをおすすめします。
Q. 設立直後に審査に落ちたらどうすればいい?
審査に落ちた場合は、最低でも6か月程度の期間を空けてから再申し込みするのが一般的です。その間に個人のクレジットカードの利用実績をきちんと積んでおくと、再審査でプラスに働く可能性があります。審査落ちの直後に別のカードに連続で申し込むのは避けましょう。
Q. バーチャルオフィスの住所で申し込める?
カード会社によって対応が異なります。バーチャルオフィスの住所での申し込みを受け付けているカードもあれば、実際のオフィスの住所を求めるカードもあります。申し込み前にカード会社の公式サイトやサポート窓口で確認しておくとよいでしょう。
まとめ
設立直後でも法人カードを作ることは可能です。代表者個人の信用情報で審査を行い、決算書や登記簿謄本の提出が不要なカードを選べば、設立1年目でも十分にカードを発行してもらえるチャンスがあります。
創業初期から法人カードを持つことで、経費データの蓄積、キャッシュフローの改善、将来の増枠に向けた利用実績の構築など、多くのメリットが得られます。年会費無料のカードからスタートし、事業の成長に合わせてカードもアップグレードしていくのが賢い戦略です。
設立直後の法人カードについてさらに詳しく知りたい方は、三井住友カードの設立1年未満向けガイドや、JCBの設立1年未満向け解説ページ、アメリカン・エキスプレスの創業期向けカード情報も参考になります。

