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法人カードで税金を納付する方法|決済手数料とポイント還元の損得を整理

支払い・決済の活用

法人税や消費税をクレジットカードで納付できると知って、「まとまった金額だからポイントがたくさん貯まるのでは」と考えた方は多いはずです。ただ、実際に手続きを進める前に押さえておきたいのが決済手数料の存在です。手数料と還元率を並べて計算してみると、思っていたほど得にならないケースがあります。

この記事では、国税庁が公開している情報をもとに、法人カードで税金を納付する仕組み、手数料の計算方法、ポイント還元との損得の見方を整理します。地方税は国税とは別の仕組みになっているので、そちらもあわせて解説します。

ナビ助
ナビ助
「税金をカードで払うとポイントがおいしい」って話、半分は本当で半分は違うんだ。手数料がいくらかかるかを知らないまま判断すると、損することもあるからね。

まず前提:カード納付は節税ではありません

大事なところなので最初に書いておきます。クレジットカード納付は納付の「方法」を変えるだけで、納める税額そのものは1円も変わりません。銀行窓口で払っても、カードで払っても、納税額は同じです。カード納付を「節税策」として説明している情報を見かけたら、その説明は正確ではありません。

変わるのは、支払いのタイミング(カードの引き落とし日まで手元資金が残る)、手続きの手軽さ(24時間オンラインで完結する)、そしてポイントが貯まる可能性がある点。この3つです。

納付方法を選ぶ前に、法人の税金の種類や納期限を一冊で確認しておくと、全体の流れをつかみやすくなります。

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国税をクレジットカードで納付する仕組み

納付受託者に立替払いを委託する形

国税庁の説明によると、クレジットカード納付とは「国税クレジットカードお支払サイト」を経由して、国税庁長官が指定した納付受託者へ国税の納付の立替払いを委託する手続きです。納付受託者は株式会社エフレジで、支払サイトのURLは https://koukin.f-regi.com/fc/kokuzei_direct/ と国税庁が案内しています。

ここで注意したいのは、税務署の窓口やコンビニでカードを提示して支払う方式ではないという点です。国税庁も「金融機関やコンビニエンスストア、税務署の窓口では、クレジットカードによる納付はできません」と明記しています。手続きはインターネット上でのみ行えます。

対象になる税目

国税庁は利用可能税目を「全ての税目」としたうえで、次の2つを例外として挙げています。

注意
  • 源泉所得税及び復興特別所得税:税務署長から納税の告知を受けていない(納税告知書が届いていない)場合は、お支払サイトからではなくe-Taxから手続きを行う必要がある
  • 印紙税・登録免許税:法令の規定により印紙を貼り付けて納付しなければならない場合は、お支払サイトを利用できない

利用可能額と対応ブランド

利用可能額は、国税庁の案内では「1度の手続につき、1,000万円未満、かつ、ご利用になるクレジットカードの決済可能額以下の金額(決済手数料含む)」とされています。ここでいう決済可能額とは、そのカードの利用可能枠のことです。納税額がカードの利用可能枠を超えていれば、そもそも決済できません。

対応している国際ブランドは、Visa・Mastercard・JCB・American Express・Diners Clubの5つです。利用可能時間は24時間ですが、メンテナンスで使えない時間帯が生じる場合があるとされています。

ナビ助
ナビ助
利用可能枠のチェックは先にやっておこう。納期限の直前になって「枠が足りなくて決済できない」ってなると、けっこう焦ることになるからね。

決済手数料はいくらかかるのか

国税庁が公開している決済手数料の表は次のとおりです。金額はいずれも税込です。

納付税額 決済手数料(税込)
1円〜10,000円 99円
10,001円〜20,000円 198円
20,001円〜30,000円 297円
30,001円〜40,000円 396円
40,001円〜50,000円 495円

国税庁は「以降も同様に10,000円を超えるごとに決済手数料が加算されます」と説明しています。つまり10,000円ごとに99円(税込)ずつ積み上がる階段状の料金体系です。実際にいくらになるかは、お支払サイトのシミュレーション計算で確認できると案内されています。

あわせて押さえておきたいのが、国税庁が明記している「なお、決済手数料は、国の収入になるものではありません」という一文です。手数料は納税額とは別に、納付受託者へ支払う費用という位置づけになります。

ポイント還元と手数料、どちらが大きいか

ここが本題です。手数料が10,000円ごとに99円(税込)ということは、納付額に対する手数料の割合はおおよそ1%弱になります。したがって、還元率が1%を下回るカードで納付すると、ポイントより手数料のほうが大きくなる計算です。

簡単な試算

あくまで考え方を示すための例として、納付額10,000円のケースを見てみます。

ポイント
  • 還元率0.5%のカード:ポイント50円相当 − 手数料99円 = 49円のマイナス
  • 還元率1.0%のカード:ポイント100円相当 − 手数料99円 = ほぼ差し引きゼロ
  • 還元率1.5%のカード:ポイント150円相当 − 手数料99円 = 51円のプラス

(1ポイント=1円相当として計算した場合の例です。実際の交換レートはカードによって異なります)

さらに気をつけたいのが、階段の区切りをまたいだ直後です。納付額が10,001円になった瞬間、手数料は198円に上がります。この場合、還元率1.0%のカードでもポイントは100円相当にしかならないため、差し引きで100円近いマイナスになります。金額が区切りのすぐ上に来るときほど、手数料の負担率は重くなると覚えておくとよいでしょう。

実際の納付額で手数料と還元額を比べるときは、経理向けの電卓が手元にあると計算がはかどります。

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還元の対象外になる場合もある

もうひとつ、カード会社によっては税金や公共料金の支払いをポイント還元の対象外としていたり、通常より低い還元率を適用していたりすることがあります。手元のカードがどう扱われるかは、カード会社の会員規約やポイントプログラムの規定に書かれています。納付する前に、そのカードの規約を必ず公式サイトで確認してください。

ナビ助
ナビ助
「税金は還元率が半分になります」みたいな規定、けっこうあるんだ。そこを見落としたまま計算すると、貯まると思ってたポイントの半分しか来なくて手数料負けするよ。

ポイント以外のメリットで判断するという考え方

手数料の存在を踏まえると、ポイント目当てだけでカード納付を選ぶ理由は限定的です。それでもカード納付が選ばれるのは、次のような理由があるからです。

支払いを後ろにずらせる

カードで納付すると、実際に口座からお金が出ていくのはカードの引き落とし日です。締め日と支払日の組み合わせによっては、納期限から1〜2か月ほど資金が手元に残ります。納期限に手元資金が薄い局面では、この時間差そのものに価値があるという判断はあり得ます。

24時間オンラインで完結する

金融機関の窓口が開いている時間に行く必要がありません。決算期で忙しい時期に、納付のためだけに外出する手間が省けるのは実務上ありがたいところです。

手数料は経費として処理できる

決済手数料は事業に関連して発生した費用なので、支払手数料などの勘定科目で経費計上する扱いが一般的です。ただし勘定科目の選び方や処理方法は会社の会計方針にもよるため、迷ったら顧問税理士に確認してください。仕訳の考え方全般は「法人カードの経費仕訳ガイド|勘定科目の使い分けを解説」でも扱っています。

カード納付で気をつけたい5つのこと

領収証書は発行されない

国税庁は「領収証書は発行されません。領収証書が必要な方は、最寄りの金融機関又は所轄の税務署の窓口で納付してください」と案内しています。領収証書が要る場面がある場合は、カード納付を選ばないという判断になります。

カードで納付した場合は、手続き完了の画面や利用明細を印刷し、税目ごとにまとめて保管しておくと後から確認しやすくなります。

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手続き完了後の取消しができない

「国税クレジットカードお支払サイト」での納付手続が完了すると、その納付手続の取消しはできないと明記されています。金額の入力ミスは取り返しがつかないため、確定ボタンを押す前の確認は入念に行いましょう。

納税の猶予を受けられなくなる

納付手続の完了後、その手続きで納付済みとなった国税については、納税の猶予等を受けることはできないとされています。資金繰りが厳しく猶予の相談を考えている場合は、先に税務署へ相談するのが順序です。

納税証明書への反映に時間がかかる

クレジットカード納付をした後に納税証明書を請求すると、納付受託者が立替払いを行うまでの間(最大3週間程度)は、納税証明書にクレジットカード納付が行われている旨が記載されると案内されています。入札や融資の申込みで納税証明書が必要な場合、この3週間のタイムラグが問題になることがあります。スケジュールから逆算して納付方法を選んでください。

カードの利用可能枠を大きく食う

納税額が数十万円、数百万円という規模になると、その月の利用可能枠がほとんど埋まってしまいます。仕入れや広告費の決済が同じカードに乗っている場合は、枠の残りに注意が必要です。枠が足りないときの対応は「法人カードの限度額を上げる方法!増額審査を通すコツを解説」を参考にしてください。

地方税は別の仕組み。混同しないこと

ここまでは国税の話です。住民税・事業税・固定資産税といった地方税は、国税とはまったく別の仕組みで運用されています。

地方税共同機構が運営するeLTAX(地方税ポータルシステム)の公式サイトでは、令和5年4月3日からクレジットカードを利用した地方税の納付が可能になったと案内されています。納付先は「地方税お支払サイト」で、PCdeskの納付情報選択画面から「クレジットカード」を選ぶと、ブラウザで「F-REGI公金支払い」サイトが開く流れです。

費用面では、国税と同じく無料ではありません。eLTAXの公式ページには「納付額に応じて『F-REGI公金支払い』サイトのシステム利用料がかかります」と記載されており、システム利用料はリンク先で試算できるとされています。また、国税と同様に納付手続後の取消しはできません。

注意

国税の決済手数料の表を、そのまま地方税に当てはめないでください。国税と地方税は運営主体も手数料の体系も別です。地方税の実際の負担額は、地方税お支払サイトの試算機能で確認してから判断しましょう。

ナビ助
ナビ助
国税と地方税をごっちゃにして説明してる情報、けっこう見かけるんだよね。サイトも運営してるところも別物。まずは自分が払うのがどっちなのかをはっきりさせよう。

参考にした公式ページ

よくある質問

Q. 法人カードでなくても税金は納付できますか。

国税クレジットカードお支払サイトは、対応ブランドのクレジットカードであれば利用できるとされています。ただし法人の税金を代表者個人のカードで払うと、経理上は立替金や役員借入金の処理が必要になり、公私の区分が曖昧になります。事業の納税は法人カードで行うのが整理しやすい形です。

Q. 分割払いやリボ払いにできますか。

支払い方法の選択肢はカード会社の設定によります。分割やリボを選ぶと、カード会社に対して別途、分割手数料や利息が発生します。決済手数料に上乗せされる形になるため、コストはさらに増えます。

Q. 手数料を上回るポイントが付くカードはありますか。

還元率が1%を明確に超えるカードであれば、計算上は手数料を上回る可能性があります。ただし前述のとおり、税金の支払いをポイント対象外や低還元率としているカードもあります。判断の前に、そのカードのポイントプログラム規定を確認してください。

Q. 納期限を過ぎてしまった税金もカードで払えますか。

納期限を過ぎた国税には延滞税がかかります。納付方法については所轄の税務署に確認するのが確実です。延滞税の計算方法は国税庁のサイトに掲載されています。

Q. 決済手数料に消費税はかかりますか。

国税庁が公表している決済手数料の表は、いずれも税込金額として示されています。表に書かれた金額がそのまま負担額になります。

Q. e-Taxを使っていなくてもカード納付できますか。

国税庁は、国税庁ホームページから「国税クレジットカードお支払サイト」へアクセスする方法も案内しています。e-Taxの受信通知からアクセスする方法、確定申告書等作成コーナーの案内画面からアクセスする方法とあわせて、3つの経路が示されています。ただし源泉所得税で納税告知書が届いていない場合など、e-Taxからの手続きが求められるケースもあります。

ナビ助
ナビ助
結局のところ、カード納付は「ポイントで儲ける手段」じゃなくて「支払いを後ろにずらせる手段」って考えたほうがしっくりくると思う。そう考えると使いどころが見えてくるよ。

まとめ

法人カードによる国税の納付は、国税庁長官が指定した納付受託者に立替払いを委託する仕組みで、インターネット上でのみ手続きできます。1度の手続きにつき1,000万円未満かつカードの利用可能枠以下という制限があり、Visa・Mastercard・JCB・American Express・Diners Clubに対応しています。

決済手数料は納付税額1円〜10,000円で99円(税込)、以降10,000円を超えるごとに99円ずつ加算されます。納付額に対しておおよそ1%弱の負担になるため、還元率が1%を下回るカードでは手数料のほうが大きくなります。ポイント目的で選ぶのであれば、還元率と手数料を並べて計算してから判断してください。

領収証書が発行されないこと、手続き後は取消しできないこと、納税証明書への反映に最大3週間程度かかることも、判断材料として押さえておきたいポイントです。地方税は国税とは別の仕組みで、システム利用料の体系も異なります。この記事の内容は記事執筆時点で公開されている情報にもとづくものです。手数料や制度は改定される可能性があるため、手続きの前に必ず国税庁および地方税お支払サイトの最新情報をご確認ください。

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